書いて終わりのカルテは、売上にならない

毎回カルテは書いている。施術の内容も、使った薬剤も残している。なのに、次の提案は思いつきで、再来は来てくれるかどうかの運任せ。書いているのに売上につながらないのは、書いた記録を次に開いていないからです。

リクルート ホットペッパービューティーアカデミーのまとめでは、新規のお客さまのうち約5割が2回目以降の来店で離れ、さらにその半分が3回目以降で離れていきます。来てくれた人を再来につなげられるかで、売上は変わります。

カルテの価値は、書いた瞬間ではなく、次の来店で開いたときに出ます。前回どこをどうして、次に何を勧めると決めていたか。それが記録に残っていれば、来店時にカルテを開くだけで、その日の提案が決まります。逆に施術の事実しか書いていないと、毎回ゼロから考えることになります。

書いて終わりのカルテ売上につながるカルテ
記録の中身その日の施術・薬剤だけ施術+次回提案+来店周期+悩み
来店時開かない、または見るだけ開いて、前回の提案を確認する
提案その場の思いつき記録から、次の一手が決まっている
再来来てくれるかは運会計で次回予約まで取る

違いは記録の量でなく、書いた記録を次の来店で使うかどうか。

記録項目に「次にどうするか」を足す

最初の一手は、記録項目を見直すことです。いまのカルテに、施術の事実しか書いていないなら、次の4つを足します。これが、提案と再来の起点になります。

足す項目書くことこれが次に効く場面
次回提案次に勧めると決めた施術・メニュー来店時に開けば、その日の提案がすぐ決まる
来店周期次はいつ頃が良いか(〇週間後など)戻る前に声をかけ、再来の間隔を保てる
ホームケア勧めた・購入した商品と、使用の様子物販の続きや、次の提案につながる
会話の悩み施術中に出た悩み・要望・予定次回、その悩みに合う提案を出せる

施術の事実に、この4つを足すだけで、記録が「次の一手」を持つようになる。

大事なのは、施術の最後にこの4つを埋める習慣です。とくに「次回提案」と「来店周期」は、その場でお客さまと話したことを、忘れる前に残します。次に来たとき、これを開けば、提案を一から考える必要がなくなります。

全項目を毎回びっしり書かなくていい

4項目すべてを長く書く必要はありません。次回提案と来店周期は一言ずつ、悩みやホームケアは出たときだけ。続けられる量にして、書いた記録を必ず次に開くほうが大事です。

記録から次回提案を作る ― 来店時に開く

項目を足したら、次は使い方です。来店時に、施術に入る前にカルテを開きます。前回の「次回提案」「悩み」「ホームケア」を見て、その日の流れを決めます。

  1. 来店時にカルテを開く:受付か施術の前に、前回の記録に目を通す。次回提案と悩みを確認する。
  2. その日の提案を決める:前回「次はこれを」と書いた施術や、出ていた悩みに合うメニューを、その日の提案にする。
  3. 施術中に確かめる:提案の前に、肌や髪の状態、前回からの変化を見て、提案が合っているかを確かめる。
  4. 提案を伝える:施術の流れの中で、「前回こう話していたので、今日はこれを」と、記録に沿って伝える。

提案が「思いつき」から「記録に沿った続き」に変わると、お客さまも納得しやすくなります。前回の会話を覚えていてくれた、という体験は、戻る理由にもなります。施術の事実だけのカルテでは、この流れは作れません。

会計の場で再来につなぐ ― 次回予約まで取る

提案が決まっても、再来につながらなければ売上になりません。いちばん戻ってもらいやすいのは、後日の連絡でなく、会計の場で次の予約まで取ることです。

会計のとき、カルテの「来店周期」と「次回提案」を見て、次はいつ・何をするかをその場で伝えます。「今日のお手入れだと、次は3週間後くらいが良いので、その頃にこれを」と伝え、その場で予約を取ります。帰ってから連絡するより、目の前で次が決まるほうが、間隔が空きません。

「また連絡しますね」で終わらせない

会計で次が決まらないと、再来は連絡頼みになります。連絡は届かないこともあり、届いても戻る理由が薄れています。目の前にいる会計のときが、次の予約を取るいちばんのタイミングです。記録に書いた次回提案を、ここで使い切ってください。

来店周期で、戻る前に声をかける

会計で次回予約が取れなかったお客さまには、来店周期が効きます。前回の来店日と、記録した周期を見れば、そろそろ戻る頃のお客さまが分かります。間隔が空く前に声をかけると、離れずに済みます。

状況記録から分かること打つ手
周期どおり前回から、いつもの間隔が近づいたその頃に合わせて、次回提案つきで連絡する
周期を過ぎたいつもの間隔より長く空いている離れかけ。早めに、戻りやすい一声をかける
久しぶり長く来ていない常連だった前回の記録を見て、当時の悩みに触れて連絡する

来店周期を記録しておくと、戻る前か、離れかけかが分かり、声のかけ方を変えられる。

声をかけるときも、記録があると中身が変わります。「お久しぶりです」だけでなく、「前回気にされていた〇〇、その後いかがですか」と、当時の記録に触れられます。覚えていてくれた、という一言が、戻るきっかけになります。

記録→提案→再来を、台帳と仕組みで回す

ここまでの流れは、頭と紙だけでも回せますが、お客さまが増えると追いきれなくなります。誰がそろそろ戻る頃か、誰の次回提案が決まっているか。これを一覧で見られると、声をかけ漏れが減ります。

カルテの記録を、顧客台帳として一覧で見る形にすると、来店周期を過ぎた人を抜き出せます。新規をリピートに変える台帳の作り方は、別記事で整理しています。記録項目と台帳をそろえると、記録→提案→再来が、属人でなく仕組みで回ります。

関連

記録を顧客台帳としてまとめ、再来につなげる作り方は「新規をリピートに変える顧客台帳の作り方」で扱っています。記録の電子化そのものは「サロンのカルテを紙からやめる」で手順を整理しています。電子カルテなら、来店周期での抽出や、提案の履歴が、紙より楽に回せます。

自店の段取り ― 常連3人から始める

全員のカルテを一度に直す必要はありません。常連3人から始めて、流れが回るかを確かめます。

  1. 常連3人のカルテを開く:次回提案と来店周期が書いてあるか見る。無ければ、書いて終わりになっている。
  2. 4項目を足す:次の来店から、施術に加えて次回提案・来店周期・ホームケア・悩みを残す。
  3. 来店時に開く:施術の前にカルテを開き、前回の提案を確認して、その日の提案を決める。
  4. 会計で次を取る:会計の場で、来店周期と次回提案を見て、次の予約まで取る。
今週の確認
  • 常連3人のカルテに、次回提案と来店周期が書いてあるか見たか
  • 書いて終わりになっているカルテに、4項目を足す決めをしたか
  • 来店時に、施術の前にカルテを開く習慣を始めたか
  • 会計の場で、次回予約まで取る運用に変えたか

カルテを売上に変えるのは、書く量を増やすことではありません。次にどうするかを記録に残し、来店時に開いて、会計で次を取る。この動線を回すと、書いてきた記録が、次の提案と再来の起点になります。常連3人から、流れを確かめてください。