常連は、ある日いきなり来なくなる訳ではない

毎月のように来ていた人が、ふと予約表から消える。次に思い出すのは、半年後、別の店に通っていると人づてに聞いたとき。あのお客さま、最後はいつ来たんだっけ。思い出せない。多くのサロンが、常連をこの形で失っています。

常連は、突然来なくなる訳ではありません。来店の間隔が、少しずつ空いていきます。いつも30日で来ていた人が、45日になり、60日になる。その途中で気づければ、戻ってもらえます。気づけないのは、間隔が見える形になっていないからです。間隔を見えるようにする。それが、足が止まる前に動くための土台です。

来店の間隔を、記録して並べる

見える化の出発点は、お客さまごとに、前回から今回までの間隔を残すことです。台帳に来店日が並んでいれば、間隔は引き算で出ます。何人かぶん並べると、見え方が変わります。

お客さま前回来店いつもの周期今日(6/24)時点
A さん6月10日約30日14日経過 ― まだ周期内
B さん4月20日約35日65日経過 ― 周期を大きく超過
C さん5月18日約40日37日経過 ― そろそろの時期

日付は記入例です。前回来店と周期を並べるだけで、誰が離れかけているかが見えます。

この表で見るべきは、Bさんです。いつもは35日で来る人が65日来ていない。完全に足が遠のく前の、いまが声をかけどきです。来店日を記録するだけでは足りず、こうして間隔として並べて初めて、Bさんが浮かびます。来店履歴の記録そのものは「新規をリピートに変える顧客台帳」で扱っています。

いつもの周期を、お客さまごとに知る

周期は、お客さまごとに違います。同じ「リピート客」でも、来る間隔は人それぞれです。ここを一律で見ると、声かけの時期を外します。

過去の来店日を3〜4回ぶん見れば、その人の周期はだいたい分かります。30日で来る人、2か月ごとの人、季節の変わり目だけの人。メニューでも違います。まつ毛やネイルのリペアは短く、カットや白髪染めは中くらい、フェイシャルや痩身のコースは人それぞれです。

周期は「平均」でなく「その人の周期」で見る

店全体の平均来店間隔を1つ出しても、声かけには使えません。30日の人に45日で声をかけたら遅く、60日の人に30日で声をかけたら早すぎます。一人ひとりの周期を持つことが、効く声かけの前提です。

周期を過ぎた人を、一覧にする

周期が分かると、次は「周期を過ぎても来ていない人」を、定期的に一覧で出します。これが、声をかける相手のリストです。出し方は、人数で変わります。

手作業でも仕組みでも、やることは同じです。周期を過ぎた人を、毎週決まったタイミングで洗い出す。属人的に「そういえばあの人」と思い出すのに任せると、忙しい週ほど漏れます。仕組みで定期的に出すから、漏れずに声をかけられます。来店間隔が空いた人を自動で一覧にする機能は、顧客管理システムを選ぶときの軸の1つです。選び方は「サロン顧客管理システムの選び方」で扱っています。

「離反」を、店の言葉で決めておく

どこからを「離れかけ」とするか、店で決めます。たとえば「いつもの周期+2週間を過ぎたら声かけ対象」のように線を引きます。線が無いと、毎回その場の感覚で判断することになり、人によって・週によってばらつきます。

いつ・何を言って声をかけるか

一覧ができても、声のかけ方を外すと戻ってもらえません。時期と中身の2つを整えます。

時期 ― 周期を少し過ぎたあたり

いちばん効くのは、いつもの周期を少し過ぎたあたりです。早すぎると「まだ来たばかり」と感じさせ、遅すぎると、もう別の店が決まっています。周期に次回の目安を足したくらいが目安です。完全に足が遠のいてからの呼び戻しは、戻る率がぐっと下がります。だから、止まる前に動きます。

中身 ― あいさつでなく、来る理由を渡す

「お久しぶりです、お元気ですか」だけでは、来店の理由になりません。その人の記録を見て、次に来る理由を添えます。

回数券・コースの残りは、消化の記録とつながります。未消化の管理は「回数券・コースの消化を仕組みで管理する」で扱っています。記録と周期を見て、その人に合う理由で声をかける。これが、ただのDM一斉送信と違うところです。

表計算で始める ― 自店の段取り

システムを入れる前でも、表計算1枚で始められます。まずは常連10人ぶんで、見える化の手応えを確かめます。

  1. 10人選ぶ:直近で常連だったお客さまを10人、台帳から選ぶ。
  2. 前回来店と周期を書く:それぞれの前回来店日と、過去の来店から分かるいつもの周期を書き込む。
  3. 経過日数を出す:今日との差を出し、周期を過ぎている人に印をつける。
  4. 声かけの線を決める:「周期+2週間で声かけ」など、対象にする線を店で決める。
  5. 理由をつけて声をかける:印のついた人へ、記録を見て来る理由を添えて連絡する。週に1度、これを回す。

10人で回ると、間隔を見ることの効きが分かります。人数を増やし、毎週の習慣にし、手が回らなくなったら顧客管理システムの自動一覧に移します。順番は、手で回せる範囲から始めて、重くなったら仕組みに乗せる。これが無理のない進め方です。

今週の確認
  • 常連のお客さまごとに、いつもの周期を把握しているか
  • 周期を過ぎても来ていない人を、一覧で出せているか
  • 「どこからが離れかけか」の線を、店で決めているか
  • 声かけに、あいさつでなく来る理由を添えているか
  • 洗い出しを、感覚でなく毎週の習慣にできているか

常連が抜ける穴を、新規で埋め続けるのは重い仕事です。間隔を見える形にして、止まる前に声をかける。これができると、いま通っている人を、長く通う人にしていけます。